観劇の為に都内に出るときは、必ず昼夜と二作品は見るようにしている。
それは勿論往復の交通費の為。
川越市でも端っこの我が家からは、都内のどこの劇場でも、往復1500円くらいは軽くかかってしまう。それはつまり3000円のチケットは私とっては4500円で、5000円のチケットは6500円になるんだよね。だからお金の事をあんまり言うと意地汚いけどさ、面白くないくせにチケット代が高かったときのがっかり感は、も~~~怒りに近いものが有る。

昼は、おででこ9月公演出演の山谷勝巳さんの舞台を拝見。
これは主宰のGフォース後藤さん、作の加藤さんなど、以前共演させていただい方が総勢10名くらい。

「あれ?あなた○○さんの××なの?へ~僕は○○さんとは▲で**したよ!」「この世界は狭いですね~」
演劇やってる者同士、本当に日常茶飯事の会話。

でもま、それは当たり前。
私も今回の「おででこ」公演のキャスティングは、やっぱり過去に共演した事のある方に相談しました。
ダイレクトに自分自身が共演したことのある方にオファー出来れば一番だけど、なかなかそれだけでは難しい。だから公開オーディションも有効です。でも公開ではやりたくない時は、自分と共演した事のある方に紹介して貰うのが間違いない。

出会いは繋がりの先にあり、出会わないのは繋がりを作ってないから。

夜は、藤間紫乃弥さん出演の、日本舞踊協会新作日本舞踊を観劇。
古事記の「大国主」の部分をモチーフにした創作舞踊。紫乃弥さん凄い大役を勤められていた。幕開きは何十人もの群舞の中心で彼女のソロ舞踊。やはりたいした舞踊人だと感心した。小さな体が大きく見えた。
私は、30代の10年間を、彼女の稽古場に通って、日本舞踊を教わった。

去年はおででこも、古事記から立ち上げたパフォーマンス「ぼくらの神話」を上演している。

私は大国主のくだりが好きだ。
彼は優しくて女にもてたから、兄弟に嫉妬されて焼き殺されたり、裂けた木にはさまれて殺されたりしてる。そう何度も殺されている。でも母や妻や恋人、小さいねずみとかに救われて生き返ってる。弱者に好かれるやつはいつの時代にも魅力的なのだ。でも女好き過ぎて恐い正妻を猛烈に嫉妬させて、「もうそんなに嫉妬するなら出て行くよ~」と歌ったら、そこは正妻もクレバーでしなやかに、「私はか弱い女よ~男はアナタ一人なの~」とか歌っちゃって、結局家出をやめて、お互いに抱き合ったまま鎮座されている神社が出雲。だからあそこは縁結びの神社なのね。
なんとも人間味溢れる魅力的な神様なのだ。

その名のとおり、大いなる国の主、大国主は国づくりの神様。でも実は他にも沢山名前を持っていて、大国主は決して一人の人物のエピソードから作られたキャラクターではないといわれている。まあ神話とはそういうものだけど、ようするに古代日本列島各地にあった王国の伝説、王や実力者達の神話、それらを総合させたキャラクターが大国主だと言われている。

古事記は、大和朝廷(天皇家)の正統性を誇示するために、時の権力者が編纂した歴史書物。各地に伝わっていた神話や伝説を集めて、大和朝廷の権力を誇示する目的で編纂されているから、時の権力者にとって都合の悪い事は除外されている。それでもなお、大国主のくだりがかなりな部分を使って書かれているのは、つまり大和朝廷が無視できないほどの、強大な力を持っていた、有る古代王国の歴史だからなのだと・・・。

面白いでしょ?逆も又真なり。
「歴史は時の権力者が、神話を使って作り出す」
「歴史の裏には歴史になりえなかった無数の真実=神話がある」


で、その夜は11時頃に家に帰りつき、ビールと白ワインとピーナツと豆腐とチーズをお供に、窓全開で(扇風機派の私はクーラー入れないのです)パソコンを相手に、だらりとリラックスタイム。

時間にして二時間くらいは経ってたのかな?PCつけっぱなしで私ちょっと寝てしまっていたようです。夢の中で聞こえてきたのが、

「ウ~~カンカンカン・ウ~~カンカンカン」

あれ?このサイレンの音はなんだっけ?と夢の中で考えてる私。
そうしているうちにも、音はどんどん近づいて来て、おまけに何だか凄い台数の「ウ~~カンカン」です。
あれ?これ近いなと思っていたらすぐ側で、

「ウ~~ゥ・・・・・」止まった?

え!?内の団地?

流石に飛び起きました。
ベランダに出ると、見える範囲だけでも消防車が三台。派手に赤色灯が回っています。私の部屋からは煙は見えませんが、騒々しく指示をする声、消防隊員の慌しい動き。こりゃ間違いなく本当に火事のようです。

向かいの棟からぞろぞろと住人達が出てきて、火元と思われる方角へ駆けて行きます。私もノースリーブに部屋着の短パンにビーサンで飛び出しました。
真夜中なのに、結構な住人が既に集まって、煙の立ち上る二号棟五階を見上げています。

立ち込める焦げ臭い匂い。
二号棟からはぞろぞろと住人たちが避難中。
火元は、五階に一人で住んでいた、85歳のおばあさん宅だと話す近所の人。
通報したときには玄関の扉がすでにかなり熱かったとか。
放水の水が建物を伝って一階まで流れ落ちてる。
これじゃ下の階のお部屋も水浸しになると簡単に想像できる。
そうこうしている内に閉まっていた窓が割れて、黒煙が派手に噴出して、やがてへやの中から放水された水が夜空に飛び出した。
消防隊が部屋の中に踏み込んだのだ。

火事は恐いね。
延焼は食い止められ、他のお部屋は焼けなかったみたいです。
でも、水浸しの下の階の損害は、火災保険で補えるのかな?とマジで考えました。

焼け跡からご遺体が見つかったそうです。

日本列島いずこもそうでしょうが、この団地も少子高齢化が進んでいます。